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何事にも最後などありはしない
―Dr. マンハッタン[出典]

概要[]

  • Dr. マンハッタンことジョナサン・オスターマンアラン・ムーアによるコミック『ウォッチメン』に登場するキャラクター。
  • Dr. マンハッタンは原子物理学の実験室で起きたアクシデントによって人間の限界を超え、超人的パワー、テレキネシス、テレポート、物質操作など、ほぼあらゆることが可能な神に近い能力を手に入れた。また彼は過去、現在、未来を同時発生的なものとして捉えているが、未来のできごとに対する自分の反応もあらかじめ決定づけられているため、予知に基づいた行動はできないものとしている。
  • 『ウォッチメン』の他のキャラクターと同様、長らくDCユニバースとは直接の関わりを持たなかったが、2016年の『DCリバース』でウォッチメン関連作以外での初登場を果たす。
  • 劇場版『ウォッチメン』ではビリー・クラダップがDr. マンハッタンを演じた。

経歴[]

オリジン[]

ジョナサン・“ジョン”・オスターマン(Jonathan "Jon" Osterman)は1929年に生まれ、ブルックリンで青年時代を過ごした。ジョンは父親と同じ時計職人になることを志したが、16歳のとき、父親本人にその夢を否定された。ジョンの父は広島に原子爆弾が落とされたというニュースを聞き、相対性理論が時計職人の仕事を時代遅れにしてしまったと考えたのだ。彼は息子が組み立てていた懐中時計の部品を取り上げ、家の外へ捨ててしまった。その後ジョンは父親の意思に従って原子物理学の道に進み、1948年にプリンストン大学に入学、その10年後に博士号を取得して卒業する。1959年、彼はジーラ・フラット実験場に赴任した。この実験場では重力以外で物質を引きつけ合う力が存在するかどうかを確かめるため、イントリンジック・フィールドの研究が行われていた。ジョンはこの実験場でのちに愛人となるジェイニー・スレーターと出会う。

1959年7月、ジョンはニュージャージーに旅行し、ジェイニーとともに遊園地を訪れる。この日ジェイニーの腕時計が壊れ、時計職人の息子であるジョンは自分が修理してみせると申し出た。その夜、ジョンはジェイニーとベッドをともにした。

それから1ヶ月が過ぎた1959年8月、ジョンは修理した時計をジェイニーに渡そうとしたが、白衣のポケットに入れたままイントリンジック・フィールドの実験チェンバーに置き忘れていたことに気づく。ジョンは白衣を回収するためI.F. チェンバーに入ったが、扉にオートロックがかかり閉じ込められてしまう。チェンバーは実験の準備中だったため、外にいる同僚も保安ロックを解除することはできなかった。ジェイニーは愛人の最期を見るのに耐えられずその場を去り、ジョンは修理した時計を見ながら秒読みを待った。数秒後、彼は肉体のイントリンジック・フィールドを分解され、まばゆい光の中で粉々に吹き飛ばされた。ジョンは死んだものとされ、9月に形だけの葬儀が執り行われる。

ジョンが消失した後、研究所で奇妙なできごとが起きるようになった。施設の各地で不完全な人間の肉体が目撃されて幽霊騒ぎになったが、それはジョンが実体を取り戻そうとする過程に起きた現象だった。ジョンは11月10日に循環器、14日に部分的な筋肉組織を備えた骨格を手に入れる。それまでは出現後すぐに消えていたが、11月22日には完全な姿(髪がなく、裸で、輝く青い肌を持つ肉体)となって復活した。

ビフォア・ウォッチメン[]

アメリカは超人的な力を得たジョン・オスターマン博士を、敵対諸国に恐怖心を抱かせるための兵器として利用した。この頃、ジョンは自らの額に水素原子を象徴するシンボルマークを入れた。ジョンはDr. マンハッタン(Doctor Manhattan)というコードネームを与えられ、その存在は1960年3月に一般公表された。

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1966年、ジョンはヒーローチーム、クライムバスターズの最初の会合に参加し、2代目シルク・スペクターローリー・ジュスペクツィクと恋愛関係になる。まもなくジェイニー・スレーターとの関係は破局を迎え、ジョンはローリーと一緒に生活するようになる。

ウォッチメン[]

Doctor Manhattan

コメディアンの葬儀にて

1985年当時、ジョンはキーン条例(1977年)でヒーローを引退したローリーとともに、ロックフェラー軍事研究所で職員として働いていた。この年の10月13日、ロールシャッハがジョンとローリーに会うため研究所に侵入し、コメディアンの不審死について2人と話し合おうとした。しかしロールシャッハがローリーを怒らせたため、ジョンは彼を研究所の外へ追い払った。

ジョンはダン・ドライバーグ(2代目ナイトオウル)とともにコメディアンの葬儀に参列し、ベトナム戦争のできごとに思いを馳せる。

この頃ローリーは研究所での閉鎖的な生活に不満を募らせており、自分の言うことに耳を貸さないジョンとの関係も険悪になっていた。最終的にローリーはジョンと別れ、コメディアンの死後に再会したばかりのダンのもとへ去っていった。

同じ日、ジョンはTVの討論番組に出演し、記者たちの質問に答えた。番組の途中、ノヴァ・エクスプレスの記者ダグ・ロスがマイクを手にし、過去にDr. マンハッタンと密接な関わりを持った人々が癌に冒されていることをTVの前で告発した。ジョンはかつての愛人であるジェイニー・スレーターまでも肺癌で闘病中という事実を知らされ、ショックを受ける。記者たちに取り囲まれ容赦のない質問の嵐にさらされたジョンは、感情的になって周囲の人々を別の場所へテレポートさせてしまった。

この事件は生放送されており、ジョンと周囲の人々の病気の関連性は世間に知れ渡った。これを期に、ジョンは地球から火星へテレポートし、人間社会との関わりを絶った。しかしこの事件はエイドリアン・ヴェイト(オジマンディアス)が自身の計画をDr. マンハッタンに邪魔されないために企てた陰謀だった。ヴェイトはジョンの精神的な弱点を見抜き、癌疑惑を装って彼が現実から逃避するよう仕組んだのである。またこの頃、ジョンはヴェイトが発生させたタキオンによって未来のできごとを明確に予知することができなくなっていた。地球の暦で日付が10月31日から11月1日に変わりかけていたとき、ジョンはローリーを火星へ連れていき、地球の運命について話し合った。

Manhattan Triforce

Dr. マンハッタン

ジョンはもはや人類の運命に関心を持っておらず、核戦争を止める手助けをしてほしいというローリーの言葉に耳を貸さなかった。会話の途中、ローリーはジョンの能力で自らの過去を振り返り、かつて母親に乱暴を働いたコメディアンが自分の実の父親であることに気付かされた。ローリーは自分の人生は無意味だと嘆いたが、その様子を見たジョンは人類に対する考えを改めた。彼はローリーを産んだ“熱力学的奇跡”の尊さに心を突き動かされ、あらゆる人間が救うべき価値のある奇跡的な存在だと思い直したのである。

11月3日午前0時、ジョンとローリーが地球に戻ったとき、エイドリアン・ヴェイトの計画は既に実行に移されていた。ニューヨークの惨状を目にした後、2人はヴェイトの要塞がある南極へテレポートする。ヴェイトはペットのブバスティスもろともジョンをイントリンジック・フィールドで分解したが、ジョンはかつてと同様に自らの肉体を再構築し、ヴェイトの前に再出現した。ところがヴェイトはこれ以上抵抗しようとはせず、世界各地のニュース映像をスクリーンに映し出した。ヴェイトが作り出した怪物が世界の主要都市に放たれて大量虐殺が引き起こされた結果、各国の首脳は未知の脅威に対処するため対立を放棄することで同意し、世界に平和が戻ったのである。ヴェイトはもし真実を世間に公表すれば、数百万の犠牲によって得た平和が崩れ去ることになると告げた。ジョンはヴェイトの理論に正当性を認め、ローリーとダンもやむを得ず沈黙を選んだ。ロールシャッハは真相を公表するため去っていったが、ジョンは基地の外で彼の行く手を阻んだ。一瞬ためらった後、ジョンはマスクを脱いだロールシャッハの言葉に従い、彼を粉々に吹っ飛ばした。

再び地球を去ることに決めたジョンは、出発の前にヴェイトと会話を交わした。彼はロールシャッハの口を封じたことを伝え、今後は銀河系を離れて自らの手で無垢な世界を「創造」するつもりだと告げる。ヴェイトは去りゆくジョンに、自分のしたことは最終的に正しいと言えるのだろうかと尋ねたが、ジョンはヴェイトの使った“最終的に”という表現について「何事にも最後などありはしない」と言い残して姿を消した。

DCリバース[]

フラッシュポイント』イベントのさなか、フラッシュことバリー・アレンが改変されたタイムラインをもとの状態に戻そうとしたとき、ユニバースを超えて事の成り行きを見守っていたDr. マンハッタンが歴史再編に干渉し、新しいタイムラインから10年の時間を奪った。結果的に形成されたのは、本来のニューアースとは微妙に異なる新しいユニバースだった。その後の『NEW 52』イベントでDr. マンハッタンはユニバースの秘密を探ろうとしたオウルマンメトロンを殺害し、自身の存在に感づいたパンドラも始末する。そんな中、タイムラインから抹消されスピードフォースの中に囚われていたウォーリー・ウェストがユニバース改変の事実に気づき、『DCリバース』イベントが幕を開ける。

能力と弱点[]

能力[]

  • 全能:ジョンは実験のアクシデントで「イントリンジック・フィールド」を分解され、肉体を粉々に破壊される。しかし彼は原子に分解された体を自力で再構築し、ほぼ無制限の力を持つDr. マンハッタンとして復活した。
  • 分身:Dr. マンハッタンは自身の肉体を複製することができる。分身した個体は別人になるわけではなく同じ意識を共有しており、Dr. マンハッタンは複数の作業を同時進行するときなどにこの能力を役立てた。
  • 融合:分身した肉体は再び1つに戻すことが可能。
  • クロノキネシス:自分の身に起きた/起きるできごとを中心に、Dr. マンハッタンは第三者的な視点から過去と未来を見ることができる。
  • 予知能力:Dr. マンハッタンは自分の未来を見通すことができる。ただしこの能力はタキオン粒子の影響で妨害されることがある。
  • コズミック・アウェアネス:Dr. マンハッタンはユニバースを宇宙的な観点から理解でき、『DCリバース』では他のユニバースの行く末を見守る。

技能[]

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弱点[]

  • 人間性の喪失
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ギャラリー[]

外部リンク[]

ウォッチメン
キャラクター
オジマンディアス · コメディアン · シルクスペクター2世 · Dr. マンハッタン · ナイトオウル2世 · ロールシャッハ
ビフォア・ウォッチメン
コメディアン/ロールシャッハ · ミニッツメン/シルク・スペクター · ナイトオウル/Dr.マンハッタン · オジマンディアス/クリムゾン・コルセア
その他
ウォッチメン (映画)
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